●中土佐町議会
 令和6年3月議会


1.能登半島地震の教訓
辰年の新年早々から大変な事態が起きました。被災された方々に改めてお見舞い申し上げます。
今回の能登半島地震は震度7という事で、向こう30年内で80%とも言われる南海トラフ地震に対する警戒心が否応なく呼び起こされたのではないかと思います。
この地震、たまたま孫達とテレビを見ている最中に飛び込んでまいりました。
ただ残念なことに地上波4局とも既設のカメラ等からの映像で、被害の状況や現場の実態がテレビからは確認できませんでした。孫は、早速、スマホとノートパソコンで検索、YouTubeのANN、ツイッター、今のXなどに投稿の現場からの津波や火事、家屋倒壊など現地から投稿された映像を見る事ができました。
それに比べてマスコミの情報収集の遅い事。ネット社会にあって、情報発信や収集の方法が、従前と違い根本的に変化している事を目の当たりに致しました。
切迫した事態であるにも関わらず、消防などは回線が満杯で繋がらない状況で、Xなどに緊急事態の支援を投稿されてもいました。
今回の能登半島地震において課題がクローズアップされたと思います。
情報収集体制、初動期対応、住宅耐震化です。
地震発生直後、自衛隊は千歳基地からF15戦闘機2機を緊急発進させ直ちに情報収集を行ったにも関わらず、自治体や消防などとの連携が縦割り行政で貴重な情報が伝達できませんでした。結果は輪島市の朝市の大火災に端的に表れたと思います。
能登半島地震では、危機管理に必要な「トップの見える化」がなされていなかったという実態が露わにされました。
大災害時に当事者は何が起きたか解らないものです。ですが、情報の収集体制やそれによる初動期対応は重要です。
災害対策基本法では災害対応は一義的には市町村となっていますが、大災害にはむしろ弊害が多すぎるように思います。トップが広域的に判断し、持てる資源や資材を現地に投入し、最大限の減災化、ダメージコントロールを図るべきです。
自衛隊との連携は重要であり、危機管理の要諦です。
高知県には第50普通科連隊が駐屯しています。中土佐町担当は迫撃砲中隊だという事です。2月6日には純平タワーで自衛隊ヘリによる救出訓練も行われましたが、津波被害による道路閉鎖で2週間は交通遮断です。道路崩壊が起これば回復までにはそれ以上の時間を要します。自衛隊や県との連携は重要な事で、そういったいざという時は、互いの顔を知っていて、現地の状況を十分把握している事が重要になります。
町長いかがでしょうか、この第50普通科連隊の迫撃砲中隊との合同訓練などによる連携についてお伺い致します。高知県防衛協会、高知県防衛議員連盟の一員としても応援したいと思います。
能登半島地震の犠牲者の多くの原因は倒壊家屋です。
先だって、中土佐町自主防災会連絡協議会で熊本県宇土市の復興状況を視察する機会に恵まれました。
宇土市は人口約4万人。震度6強で関連死を含め犠牲者は12名だったということですが、建物倒壊が少なかったことが要因だったとのことでした。耐震工事の効用がよくわかります。町としても積極的に進めるべきだと思うところですが、進捗率は何パーセントか、今後の取り組みはどうでしょうか。高齢者たちがもう耐震化はいいからと言わしめないような指導が必要だと思いますがいかがでしょうか。
能登半島地震して旅行中に被災された本山町議会の大石教政議員の体験談を聞く機会がありました。一部は新聞記事になっていますが、発災時はタイヤが外れたかと思った、直ぐに高台に逃れた、周辺の人達と高校の体育館に避難した、ガラスが散乱していてトイレもパイプが曲がったりして使用不可で困ったという事でした。発災直後は被災者救助が最優先で消防団員など専門職以外は現地に行くな、救助の邪魔になる、道路が寸断されていて食料が困る、食料は分散しておく事、火が炊けるよう薪など用意しておく事、水洗トイレは使えなくなるボットントイレも必要、一瞬にして今までの生活が崩れる、サバイバル訓練をして何もない状態から生き延びる訓練が大事だと体験に基づく教訓を述べられました。大災害の対応として重要な示唆です。実践、いかがでしょうか。
自主防災会の研修で訪ねた、平成28年と令和5年と立て続けに集中豪雨で被害を受けた福岡県東峰村は、人口約2000人の村の約半数の1000人ほどが防災訓練に参加していると伺いました。基本は自分で自分の命を守る、そのための訓練という事で「やらせられ感」ではなく、まさに自助の精神です、参考とすべきで、今後の町の防災訓練に取り入れるべき重要なソフトだと思うところですがいかがでしょうか。
説明されたこの村の当時の担当者は、「真っ先に来るのは自衛隊、だが、自衛隊は瓦礫の撤去まではしない、それは自治体の仕事。救援要請は市町村長が行うべき事。議員が被災現場に駆け付けて、あれこれ現場で指図するな、返って迷惑」と指摘されました。銘すべき言葉であります。
被災者の避難場所ですが、いまだに体育館が基本になっています。時代はQOLの時代です、快適生活です。冬場の暖房のない中、大規模災害発生時に、仮に黒潮本陣が無事で余裕があれば被災者の緊急避難先、長期滞在先として使うことはいかがか、お伺いいたします。
津波被害を見ていたら、ますます住家の高台化が重要だと思います。南海トラフ地震では医療機関が壊滅の可能性が大きいものと推測されます。
住家や医療機関などの高台移転が重要だと思います。高台移転に要する経費は町単独では困難であります。移転経費を県や国に提起すべきだと思います。
上ノ加江川の河道付け替えや遊水地整備で残土処理が課題となっていますが、海岸地域の可能な箇所に高台造成化はどうでしょうか。
この地震で道路が陥没や崩落などで、ずたずたに寸断されました。久礼から上ノ加江、矢井賀に通る県道も二週間程度の交通遮断という従来の説明ですが、道路崩壊や崩落の状況如何でどうなるかわかりません。以前に提起した山内から東又を通り窪川に抜ける国や県の道路としての道路新設も真剣に検討すべきだと思いますが、道路整備の単なる費用対効果の視点だけではないと思います、道路はまさに命の道、その整備です。見解を伺います。
話しは少しずれますが、「失われた30年」、デフレ経済は、公共投資、公共事業が30年前を一とした場合0.6程度という事で、諸外国はこれが3以上という事で、日本は他国と比較して大変低い数値です。つまり日本は公共投資をしなかった、結果、経済停滞して招いたという事です。人口が8000万人のドイツにGDPも抜かれ、第4位に転落しました。まもなく世界最大の人口のインドにも抜かれると予想されています。
こうした状況の中、デフレ経済脱却という国家の大命題において今はチャンス、南海地震対策に公共投資すべき大義名分ができます。提起して、事前復興事業として前倒しさせ、安心安全のまちづくりに取り組むべきですがいかがでしょうか。12月議会でも、町としてグランドデザインを描き、高台移転に取り組み、安心安全のまちづくりが喫緊の課題ではないかと質問したところですが、いかがでしょうか。
大規模広域の震災ともなれば、近隣自治体の救援は当てにできません、どうしても遠く離れた地域からの応援や支援の依頼という事になろうかと思います。そこで、有効に対処できるのが「姉妹都市」です、わが町には、日ごろ連携しているまちとして「北海道幕別町」がありますが、東北宮城県の柴田町との姉妹都市はいかがでしょうか。
柴田町は私の先祖の一人伊達騒動で有名な柴田外記朝意が治めたまちで、子孫もいて、個人的に交流もあり、町長や議長とも挨拶を交わしたこともあり、歴史上のつながりで、まんざらではないという感じを受けました。能登半島地震を体験された本山町の議員からも、北海道はちょっと遠い、せめて東北辺りだという感想も頂きました。町長、いかがでしょうか。この姉妹都市締結の話、相互災害応援協定でもあります。
2.中山間再興ビジョン
中山間地域再興ビジョンについて県や担当課長から説明を受ける機会がありました。市町村は智恵の出しどころと言う事でした、アイデア勝負とも言えます。競争だと思います。
高知県内34市町村議会423名の議員有志で、県宛てにパブリックコメントを提出いたしました。
昨年末から2050年の市町村別推計人口や生産年齢人口の推計人口が公表されたところですが、中土佐町は人口推計減少率が58.4%、34市町村で7番目であり、生産年齢人口減少率70%で4番目の2020年2603名が2050年には780人に減少と予測されています。780人という数値は、現在の三原村の生産年齢人口よりも若干多い数です。
越知町の議員から越知町の集落別5歳階級別人口推計票をいただきました、越知町役場の担当課長が手元資料として持っていたものを手直ししたものだそうです。かなり厳しい状況だと分かります。消滅予想集落がよく分かります。町長、わが町でも事情は一緒です、人口減少は否めまませんが、減少率を食い止める方法はあります。
少子化と中山間振興は裏腹の関係にあります。
究極の課題は次世代育成ですが、定年組などの帰郷なども一因ではないかと思います。定年退職者やシルバー層に「地域おこし協力隊」として入植し、年金とプラスして収入を確保し、孫など家族や友人たちとの交流を促し、農業や林業などで地域の保全に務める仕組みです。地域おこし協力隊は以前に募集の件で質問した際には応募がないという事でしたが、改めていかがかと思うところですし、半官半Xという形での取り組みも考えられるところです。
人一人の地方交付税は平均30万円という事ですが、一人の人の有効需要としては、生命保険会社の試算によると約3億円という事です。この経費として100万円や200万円は言うに及ばず1000万円出資しても投資効果として高いものがあるのではないでしょうか。
人口減少時代においては自治体は競争であり、目的は地域共同体の立て直しです。
我が町が生きていくためにも、ブランド化でシビックプライドを作り出していくための経費を惜しまず、従来の慣習に拘泥することなく、いろいろなアイデアを掘り起こし少子化対策、中山間振興に取り組むべきだと思うところです。
「人口減少対策総合交付金」にも採用され、県下に覇を唱えるべきだと思うところですが、いかがでしょうか。
3. 双名島鬼伝説アニメと八千代の詩
双名島に伝わる鬼伝説が「海に沈んだ鬼」という題でアニメ化したところで、私も人権啓発センターの試写会に出席させていただきました。双名島の鬼は、日本各地に伝わる鬼とは全く性格を異にしており、人々の願いを聞いてそのために身を犠牲にしたという優しい鬼の悲しい物語です。アニメの上映時間は五分と短いですが、内容は大変素晴らしいものがあります。
また、昨年末に亡くなられた国民的歌手の八代亜紀さんですが、鰹之國の我が町のイメージソングでもある川島昭代司さんの「八千代の詩」を八代亜紀さんが歌っているという事を亡くなられた後で知りました。非常に情緒豊かに歌われています。
そこで、提案です。このアニメ「海に沈んだ鬼」と八代亜紀さんの歌う「八千代の詩」とコラボして中土佐町のPRを積極的に行ってはいかがでしょうか。以前にも提起しましたが、鬼伝説の伝わる自治体で鬼サミットの開催もいかがかと思うところですが、いかがでしょうか。
4. 漬物と日本の食文化
今年の1月3日付の高知新聞の声ひろば欄に、「手作り漬物 もう売られん?」という題で投稿記事がありました。国際標準の食品衛生管理に沿った基準の厳格化で、許可制になり、出品できず止める人や困っている人が続出という原状を訴える内容の記事でした。そして、「大切な日本人の食の営み、地域の営みに規制をかけ、人と人とのつながりを断ち、疲弊させるとは国民の生命、文化を真剣に考えているとは思えない、法律を作った人は誰のために作ったのだろう」と厳しく指摘されていました。
漬物は、おふくろの味としてそれぞれの家庭で、あるいは姑から嫁にと秘蔵の漬け方で大根や白菜などを漬けてきたものです。まさに地域の伝統文化、田舎の文化でもあります。それをいとも簡単に国際標準だからと切り捨ててしまう、日本を土台から潰しているとしか思えない措置だと痛感した次第です。
改正食品衛生法に基づく現状の漬物の対応で、法に対応する施設整備の補助金制度を打ち立てましたが、どうなっているかお伺いいたします。
投稿者が言うように「本来、食べ物はその土地でとれた物のいのちをありがたく手作りしていただくことだと思うのですが」という問題提起されているように、戦後の私たちは、この基本を忘れてきました。
その結果が、田舎の文化の否定でありました。安全保障の専門家のアメリカ人が言っていますが、真の安全保障は田舎の歴史や伝統文化を守ることだと、それにはそこに守る人がいる事、住まいすることだと。漬物文化に代表されるように、田舎を守るのはこうした地道な文化を守ることです。
「国際標準」の名の下に田舎の文化、我々の培ってきた文化を否定することは、多様性社会という視点からも許されることではありません。
漬物に代表される、日本の食文化を取り戻すことが中山間振興や地域づくりからも重要なことだと考えます。施設整備における補助金制度創設で済まされる問題ではないと思います。これは国上げての、漬け物文化に代表される田舎そのものの切り捨てではないかと思うところですが、地域を支える漬物文化、町として今後どのように考え、取り組まれるのかお伺いいたします。

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プロフィール

佐竹敏彦(さたけとしひこ)

田舎の宝を取り戻す!

昭和26年7月11日生まれ、上ノ加江小中学校、須崎高等学校、高知大学卒業。高知市役所に35年勤務。

高知市社会福祉協議会の職員としての経験やノウハウを活かし生まれ故郷中土佐町の発展を目指す。

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