●中土佐町議会
 令和6年9月議会質問原稿

パリオリンピック、日本勢の活躍は目を見張るものがありました。中でも高知県から同時に二人レスリングで櫻井つぐみ選手と清岡幸太郎選手が金メダルです。加えておパラリンピックでも、車いすラグビーで主将を務める選手も金メダル。凄い感動しました、三人とも南高校の出身です。さらに円盤投げで鬼谷慶子選手銀メダルと、元気と勇気を貰いました。地域の誇りであり、人口が65万人しかいない弱小県の高知県でも世界を相手にできるのだという、これからの世代にとって新たな大きな目標となりました。何はともあれおめでとうございます。

 

1. 震災対策
台風10号が心配されたところですが、中土佐町では特にこれといった被害もなく一安心ですが、他県はいろいろ起きています。何か不気味な状況です。
浜田知事の県政報告会が先だって行われたところですが、その会場で株式会社高知丸高の高野会長さんとお会いする機会がありました。高野会長はご承知の通り、能登半島を訪れていた際に地震に遭遇された方で、現地でいろいろお世話になったようでそのお礼にと珠洲市を訪問。その時に珠洲市長から中土佐町の池田町長が激励のためカツオを送られ大変うれしかったと男気のある町長さんだと言われた、とのお話をいただきました。全国の交流で何らかの形で中土佐町の事が話題になる、まさに情けは人の為ならず、です。高野会長からお褒めの言葉、隠れた善意の行為を隠徳を積むを報告させていただきます。
行政報告で町長も触れられたところですが、8月8日宮崎で震度6弱の地震が発生しました。気象庁は「南海トラフ巨大地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっている」として注意情報を出しました。
いよいよです、臨戦態勢です。備えは十分でしょうか。避難体制は大丈夫でしょうか。道の駅なかとさの避難道もつたかずらで覆われています。地震対策の予算も検討が必要です。減災に向け、貴重な資料の保管の仕方なども今一度点検する必要があります。ダメージコントロール、リスクマネジメントの視点からも事前復興計画の前倒し、コンパクトシティ化も必要ではないかと思うところですが、いかがでしょうか。
6月13日に大川村が自衛隊第50普通科連隊や消防、警察等と合同の防災訓練を実施したという内容の記事が高知新聞にありました。
私は何回も関係機関、特に自衛隊との連携が重要だと思うという事で質問してきたところですが、この防災訓練について、どういう経過で計画決定されどういう内容だったかお尋ね致します。
以前、自衛隊との協力による訓練について質問した際、自衛隊との合同訓練は難しいという回答だったように記憶していますが、実際、実施されています。
能登半島地震でも明らかになったように自衛隊との連携は重要です。特に情報の共有は危機管理、防災対策には欠かせない要素です。輪島市や珠洲市などの事例でも分るように
非常事態においては、現地は混乱していてどのように対応するか、なかなか冷静な対応ができません。そこに適切なアドバイスや対処が可能な司令塔が求められるところで自衛隊の機能や役割が重要となります。地震だけでなく大災害では、訓練を通じた日頃からの連携がいかに大事か分かります。
待ったなしの緊迫した中での連携です。10月27日の防災フェスタで自衛隊の参加が報告されていますが、いかがでしょうかお尋ね致します。

 

2. 山内地区の砂防ダムの砂利浚渫
上ノ加江山内地区にある通称ダムですが、公的には砂防ダムという事ですが、地元にとっては農業用水であり、子供たちの格好の水遊びの場でありました。
今、そのダムが上流からの土砂流入で砂利等相当量堆積し、湛水量が減少しつつあり、浚渫をしてもらえないかと相談を受けました。
昨年も同様の件で、須崎土木事務所や四万十森林管理署の職員などが現地視察し浚渫工事も行われたところで、私も現地視察を行いましたが、焼け石に水の状況で再度埋まって来ています。
地元では、令和3年4年と連年の線状降水帯の発生による集中豪雨で溢水被害を受けており、ダムの変異に敏感になっています。
浚渫希望がありますが、いかがでしょうか、お伺い致します。
この砂利の堆積については浚渫は当然の事とはいえ、対処療法という事でしかなく、本来のは集水域を俯瞰する治山治水という総合的な対応が必要です。そういう点で、抜本的に解決するためには山の管理者、川の管理者が一堂に会して総合的に取り組むべきだと思うところです。これはこの私達が呼ぶ両栄川だけの問題ではありません。全国どこの河川でも同じことで、私達が先鞭をつけて関係者で総合的な対策を講じる組織作りが必要だと思うところですが、取り組み方についてお伺いいたします。

 

3.少子化対策
高知県の中山間地域再興ビジョン検討委員会の委員として活躍された天野馨南子さんの著書「まちがいだらけの少子化対策」を人口減少対策について論議している中で、勧められて読みました。
どう読むかですが、ポイントは、出生は未婚女性の割合と既婚女性の出生数という二つの要因に影響されること、少子化の主因は未婚化にあるというものです。
若い女性の流出を食い止め、「カップルなくして出生なし」が対策の基本なのに、若い女性が地域から激減しているという本質的な問題からそれて、既婚者に対する施策を行い、真の原因の婚姻数の大幅な減少に対する対策を講じていないと指摘。
結婚に関して最も苦しんでいるのは、女性よりもむしろ若年男性、女性以上に男性の未婚が進んでいる理由を示すデータも示され、田舎の若い女性の居場所づくりや出生につながる婚姻を発生させる若者たちの理想を叶えさせる社会づくりが解決の糸口と提起しています。私達は何か間違った施策をしているのではないでしょうか。
少子化対策において、私たちが戦うべきモンスターは、人口構造上、その発生が顕著となっている中高年世代が持つ「アンコンシャス・バイアス」であり、ファクトとエビデンスに基づいた対策ではないかというもので、少子化の罠から脱却した政策づくりだという事です。
8月31日付時事通信解説委員の「なぜ少子化対策はことごとく外れたか」という投稿記事でも、同様の世代間別の弊害を取り上げられていました。
NHK朝ドラの「虎と翼」で放送され、その存在が有名になった「戦力総合研究所」通称秋丸機関が、昭和16年段階で既に日本の敗戦を予測していたのですが、当時の内閣がこの結論を「本物の戦争は諸君が考えているようにはならない」と無視していたというもので、研究所のメンバーは大正生まれの30代、内閣は明治生まれの変わらぬ年功序列聞く耳持たなかったのが明治世代だったというものです。
町長、この著者の主張をどう思うか。お伺いいたします。
8月19日には、県主催の若者人口増加に向けた検討会が開催され、本県の人口減少、出生率の激減の要因に若年女性の転出超過にあるとして、その対策に出産・家事育児の女性に負担割合の軽減が施策の進める方向という事で結論付けられました。ですが、このことは当該の人達にはむしろ今更の話であり、当たり前だという事です。
8月31日付け高知新聞に、厚労省が30日公表した人口動態統計の速報値の記事が載っていましたが、令和6年上半期の出生数は前年比5.7%減の35万人、このままだと年間70万人を切るとありました。
9月1日の高知新聞紙上の1741市町村長、47都道府県知事を対象にした共同通信アンケート結果の記事では、79%が少子化は改善しない、県内の知事と24市町村長も人口減少を十分に防ぐことができなかったと回答しています。
私は、以前から何回も議会で提起していますが、「馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが、水を飲ますことはできない。女性が子供を産まない理由の多くはこの国に希望が持てないこと」ではないかと思います。
中土佐町はどうだったのでしょうか、町の対策を含めてお伺いいたします。

 

4. 中土佐町立共同納骨堂の管理
鎌田にある中土佐町立の共同納骨堂ですが、現在管理はどのように行われていますか。
敷地の草は伸び放題で、管理も十分行き届いていないという住民の声をいただきました。
また建物の利用もほとんどなされていない状況だとの事。
見るに忍びないという事で、管理を引き受けてもいいという住民の提案がありました。
そこで質問ですが、中土佐町立共同納骨堂の管理を委託あるいは指定管理していくという方針はいかがでしょうか。
また、少子高齢化過疎化の現状から、先祖の墓参りができないので、一まとめにして納骨堂などで永代供養に変えるいわゆる「墓じまい」という事が近年盛んに言われるようになりました。仏式ならお寺に預けて永代供養ができますが、神式の場合は、神社でお骨を預かってもらえず困っているとの事です。神社で遺骨を引き受けてくれるのは、高知市長浜の若宮神社と窪川の五社神社などわずかしかないということで、神道の家では困っているようです。
そうした実情に応えるべく、この中土佐町立共同納骨堂の管理と併せて引き受けてもいいという声もいただきました。
奇しくも8月21日の高知新聞に少子高齢化、非婚化で納骨堂が増えているという趣旨の記事が載っていましたが、中土佐町立共同納骨堂で他に引き受け先のない遺骨を預かるということも併せて行う、いい提案ではないかと思うところです。設置された目的や経緯についてはお伺いしているところですが、現状頂いた様々な意見を踏まえて検討すべきではないかと思うところで、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 

5.鰹乃國としての学術都市化
クジラの町として有名な和歌山県町がクジラに特化した学術研究都市の一歩を踏み出したという報道が、6月16日付け産経新聞にありました。
一般財団法人日本鯨類研究所が研究拠点施設を整備し、個体調査による資源管理や消費拡大に向けた鯨肉の栄養分析等を研究するというもので、起工式に当たり「クジラの学術研究都市として世界の人々が一度は行ってみたいと願う町を作る」と町長は宣言したという事です。
この取り組み、鰹乃國として売り出している我が町として実に羨ましいと思ったところですが、この先進事例を参考に、中土佐町として高知カツオ県民会議や日本カツオ学会と共同し、高知大学と連携して久礼に研究施設を整備し、名実共に「鰹乃國」としての新たな一歩を踏み出して頂きたいと思うところです。
また、美術館の高台移転後の施設をカツオ漁に関する資料館という考えも示されたところで、「鰹乃國」としてのPR館、情報発信館としての活用も考えられるところです。
今年の重点施策として、「シン鰹乃國プロジェクト事業」に取り組んでいるところであり、その具体的事業として学術都市化は、中土佐町としての将来的展望のある取り組みともなろうかと思いますが、いかがでしょうかお願いいたします。

 

6.久礼城址の文化財化の取り組み
春風亭昇太師匠がテレビ番組の一環として久礼城址を訪れた際に、中世山城としての価値を評価されたところです。条件さえ整えば県文化財としての指定は勿論、国文化財化も夢ではないという事でもあります。県内的にも貴重なものであり、中土佐町の歴史史料でもあります。
文化財化の取り組みについて条件整備はその後どうなっていますか、お尋ね致します。
少なくとも県文化財指定化までの要件はあるというふうに伺っています。阻害条件を取り除く手続きは行っているのでしょうか。
また、春風亭昇太師匠が来町し、城跡に登られた際には歴史的文化財的価値にも触れられ、その保全には地域の盛り上がりが大切で重要な事だとご指摘を頂いたところですが、いかがでしょうか、春風亭昇太師匠をお招きして講演会を開催するなど盛り上げてはいかがかでしょうか。私の一族に昇太師匠と親しい者がいますので交渉のお手伝いはできると思います。
先だって、津野町の姫野々城を津野家の歴代24代史「津野山鏡」を出版された子孫の方達と訪れる機会がありました。学芸員から公園として整備された姫野々城のガイドパンフと城下町の絵図を頂いたところです。凄いです、姫野々城も町文化財ですが、これほどまでに観光資源化と共に、天正15年当時の街の再現図を作られていることに感銘を受けました。
この城下町の絵図ですが、データは長宗我部地検帳です。この地検帳ですが、今でいう固定資産税の基礎となる土地台帳です。16世紀末に生きている人たちの名前や土地所有関係等がよく分かる資料です。
久礼城下も地検帳のデータに基づき当時の再現はいかがでしょうか。また、観光資源としてのパンフ作製はいかがかお伺いいたします。


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プロフィール

佐竹敏彦(さたけとしひこ)

田舎の宝を取り戻す!

昭和26年7月11日生まれ、上ノ加江小中学校、須崎高等学校、高知大学卒業。高知市役所に35年勤務。

高知市社会福祉協議会の職員としての経験やノウハウを活かし生まれ故郷中土佐町の発展を目指す。

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事務所

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